ピアノの調律って、なぜそんなに時間がかかるの?

みなさん、こんにちは!オトレンジャー11号ですにっこり

ピアノの調律でおうちを訪問する際、よくきかれるのが「なぜピアノ一台を調律するのに2時間近くも時間がかかるのですか?」というご質問です。

たしかに、たかがチューニング、ギターやバイオリンなどほかの弦楽器ならすぐ終わるのに、と思いますよね?

では、なぜピアノの調律にはそんなに時間がかかるのでしょうか。

今回はみなさんにピアノの調律の流れを大公開しちゃいます★

①ピアノは一音に対して中音~高音部は3本の弦が張られています。でも、3本を一度に合わせるのではなく、1本1本正確に合わせていくために、ほかの2本はフェルトで押さえて音を止めます。そのために使われるのが、写真の赤くて長いフェルトです。

②最初に、音叉で真ん中の「ラ」の音をとります。通常、アップライトピアノは440Hz(ヘルツ)、グランドピアノは442Hzで合わせます。
そして、「割振(わりふり)」という方法を使って、「ラ」でとったピッチと同じ高さの音に、そのオクターブのほかの音を合わせていきます。
「ラ」→「レ」→「ソ」→「ド」→「ファ」→「シ♭」→「ミ♭」→「ラ♭」→「レ♭」→「ファ♯」→「シ」→「ミ」という順番で、だいたい1秒に〇回の音の周波数をつくる、っといった具合にすべて耳で聴いて合わせます。これが結構難しい技術です。

③割振ができたら赤いフェルトをとって、3本中の他の2本の弦のピッチを合わせます。

④割振部分の調律が終わったら、今度は真ん中のオクターブから両脇のオクターブへと徐々に広げています。

⑤④の作業によって、全88鍵の調律をします。全部で220本ある弦を耳で聴いて合わせますので、だいたい調律には1時間~2時間かかります。長年調律をされていなかったピアノの場合、音の狂いが大きいと調律をしても音がすぐに下がってしまい、1回では調律が終わらない場合があります。

さらに、ピアノの内部にたまったほこりを除去したり、錆びた金属部分を磨いたり、外装を磨いたり...といった作業をしていると、2時間でも足りない!なんてこともあります。

少しでも、ピアノ調律の作業時間を短縮するためにみなさんにお願いしたいことがあります。

☆調律の際に注意していただきたいこと☆
・調律はすべて調律師の耳で合わせます。ですので、極力周囲を静かにしただくと、作業が効率よくすすみます。
・調律中に周囲の気温に変化があると、弦の状態が変化し調律にムラガ出てきてしまいます。ですので、できるだけ調律の途中で極度な温度調整はおすすめしません。

ピアノはとてもデリケートな楽器です。定期的なメンテナンスで、ピアノの状態を一定に保ちましょう!

《お問い合わせ》
㈱大谷楽器 技術課 電話 tel:096-311-7855